時は我々の味方だ。
もはや僕達を捜し出そうとする者はいない。 少し前までは毎夜、好奇心と畏怖の念を抱いて屋敷に 近づく若いバンパイヤたちや、日中の騒きに紛れて 憧れの気持ちでいっぱいの人間たちが、絶えずこの辺りにいた。 勿論そんな輩にこっちの気配を感じさせるほど、 僕も甘くはないけれど。 でももう、みんな来なくなった。 ただデビッドだけが(いつのまにか)ここに居座っている。 ...
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「おはようレスタト。今日、ドストエフスキーを読んだけど、 クロウディアと3人で罪について大討論した時を覚えてるかい?」 「おはようレスタト。今日は海辺へ行って来るよ」 「レスタト、おはよう。今日はトスカを観て来たけど、何度観ても 泣かされるよ。」
毎日毎日、君が深い眠りから目覚めないうちは 僕達の会話は続いていくよ。 僕は、もう狂っているのかもしれない。/// |
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Uploaded December 22, 2000