65年間の少女時代

1790年頃、ニューオリンズの貧しい家庭に生まれる。母は1795年、 ペストで死ぬが、恐らく父親もそれで死んだと思われる。腐乱した母親の遺体の 横で泣いてるところを、ルイに襲われる。 この時彼女の強い生命力のおかげで死は免れるものの、引き取られた孤児院から、 意識不明の彼女の父と偽ったレスタトに連れて 行かれてしまう。ルイは、クロウにバンパイヤの血を与えるのを拒むが、代わりに レスが自分の血を飲ませる。こうして、1795年9月21日、幼い彼女は 闇の世界へと引き込まれてしまったのだった。

吸血鬼となったクロウは、ルイに行儀作法、文学や哲学を学び、 レスに殺しを教わる。彼女は殺しのナチュラルだったらしく、自分の あどけない容姿をフルに利用し、レスでさえ舌を巻くほどの殺しの テクニシャンとなる。

バンパイヤになってから始めの数年間は、ルイの棺桶で彼といっしょに 寝ていたが、だんだん大人としての自覚が芽生えて来るにつれ、 自分の棺桶を求めたりした。ちょうどそのころ、クロウは自分の存在について、 いろいろ疑問を持ち始める。自分はどうして吸血鬼なのか、何故姿だけは 子供のままなのか。ルイやレスは、彼女を人形扱いしているが、実際人形のように 姿の変わることのない、この苦境を呪うクロウ。ついに、65年以上たった時、 彼女の怒りは爆発した。「誰が私をこんなにしたの??」とルイ達にくってかかり、 ルイが真実を打ち明けると、「二人とも大嫌い」と、ささやくしかない彼女だった。

やっぱり憎めないルイを取り敢えず許すことにしたクロウは、その怨みを全て レスに向ける。その結果、1862年のある日、仲直りするふりをしてレスに 毒の入った血を飲ませ、弱った彼をナイフで襲う。のどや胸をやられたレスは、 出血多量で死んだようにみえた。茫然としたルイに手伝わせてレスの遺体を 沼に沈めるが、この殺人は、ルイには相当ショックだったらしく、クロウを 置いてどこかへ行ってしまおうとする。それを見て彼女は突然自分の孤独を悟ったのか、 バンパイヤとなって初めて泣き崩れる。(その音に驚いて、ルイは戻って来ます。)

クロウとルイは、同類を求めて、ヨーロッパに渡ることを決めるが、出航前日、 怪物と化し怒りに燃えたレスが襲って来る。恐怖心にかられ、慌てふためいた二人は、 レスに火を投げつけ(結果的には、ニューオリンズに大火事を起こすことになった、 すごい迷惑なやつら…)、命からがら船まで逃げていく。

ヨーロッパと旅する二人だが、仲間など全くみつからないまま、パリへ辿り着く。 そこで初めて同類に出会うが、それがバンパイヤ劇場の アルマンたちだった。アルマンや劇場のバンパイヤ達が彼女に殺意を抱き、 また、ルイがアルマンといたいことを察したクロウは、彼に自由を与える代わりに、 マドレーヌを自分のために吸血鬼にして欲しい、とルイに迫る。クロウを これほど無力な少女の形のまま吸血鬼にしたことの償いとして、これから彼女を 補助してくれるマドレーヌをくれ、ということだ。他の誰かにこの呪われた 「命」なんて与えるなんて、とんでもない、と拒むルイだが、結局罪悪感に負け、 マドレーヌをバンパイヤにする。

しかし、そのほんの2、3週間後、突然襲って来た劇場のバンパイヤたちに 3人はさらわれてしまう。レスがパリに辿り着き、クロウが自分を殺そうとした、 と告発したのだった。少女バンパイヤを不気味に思っていた劇団にとって、 これは彼女を始末するにはうってつけの理由となった。アルマンにとっても、 クロウの存在を消すことは好都合だったので、一部始終を知っていながらも黙認。 ルイは丸一日鉄の棺桶に監禁され、クロウとマドレーヌは天窓のついた牢に 閉じ込められる。そして日は無情にも昇ぼり、クロウディアは、その光に焼かれて 灰と化し、長すぎた少女時代を終える。

ここでクロウは死んでしまうけれど、後程、ニューオリンズの家から 彼女の日記が発見される。さらに、それを見つけたジェシーは、彼女の幽霊を 見ているが、クロウの魂は、今もニューオリンズを漂っているのだろうか…。

Updated June 10, 1997